作品エピソード『浮世美人・花魁 青』
こんにちは!令和浮世絵師のNaohitoです!
今日はこちらの作品にまつわるエピソードを。
浮世絵に隠された艶と色気の秘密を交えてお届けします。
『浮世美人・花魁 青』

この作品、実は元のモチーフがあるんですよね。
その昔、銀座の画廊の企画展に参加した際に制作したもので。
確か「女性をモチーフにした絵を描く」というテーマの展示会で。
元々はカラーの明るい美人画でした。

TOHIONAにとっても、令和浮世絵の初期作品。
色使いや衣装が違うだけで、ガラリと雰囲気が変わるでしょう?
こちらの作品は、ありがたいことにお嫁に行ったのでも手元にはないのですが、
今年、ドバイ出展に向けて何か美人画を描こうと考えた時に、この作品を思い出して、
日本を思わせる「北斎ブルー」のイメージでアレンジし直したのが『浮世美人・花魁 青』です。
着物も、前回は霊獣が描かれていますが、巳年にちなんで今回はヘビを描きました。
色味のせいか、ちょっと四谷怪談のような雰囲気もあり…
描いているうちにだんだんと妖艶な佇まいになってきたんだなと思います。
「美人画」といえば、女性から醸し出される艶や色気が魅力のひとつでもありますが、
この絵にも、浮世絵ならではのちょっとした秘密が隠されています。
何重にも重ねられている、たっぷりとした着物の裾。
実はこれ、女性の秘めた部分を象徴的に表しているんです。

これは元々、浮世絵や春画によくある見立てで、着物の袖口でも似たような表現がされたりします。
花魁自身は幾重にも着物で肌を隠しているはずが、実は女性の象徴として内なる艶が描かれている。
当時の粋な「大人の遊び心」を感じますよね。
直接的な表現を避けつつも、見る側に想像の余地を与える。
俳句とかも似たところがありますけど、日本的な美意識の表れなのかもしれません。
そんな秘密を知った後で作品を見てみると、日本のアートにまたちょっと深い面白みを感じませんか?